介護士の仕事って、、、
利用者さんの困っていることを何でも手伝ってあげる──と思っている人も多いんじゃないだろうか。
もしかしたら、今現職として働いている介護士の中にも、そう思っている人がいるかもしれないが、、、
介護の仕事には大きく異なる…というか、ある意味“真逆の方向性”があるのを、あなたはご存じだっただろうか?
実は僕も、、、
最初は、それを知らずに、それこそ利用者さんに対し“かゆいところに手が届く”的な支援をするのが介護士の仕事だと思っていた。
プロフィールでも書かせてもらっているが、もともと“介護の資格を取るための経験”程度の軽い気持ちで介護業界に入ったから、介護士の心得なんてまったく知らなかったし、無資格だったから資格取得の研修で教わる“介護士とは何ぞや”的な理念みたいなものもまったく把握していなかった。
真逆の方向性があること──
それを僕が意識するようになったのは、最初に勤務した事業所の先輩介護士の一言からだった。
まだ入職して何日も経っていない頃だったと思う。
経験も知識もない自分なりに、何とか利用者さんの役に立とうとできそうなことを見つけては何でもかんでもやっていた頃だ。
昼食後、仲良くしてくれていた利用者さんが自分の食器を下膳しようとしていたとき、、、
深く考えもせず、「僕がやりますよ」と利用者さんが立ち上がるのを制して僕が片付けてしまったことがあった。
その直後だった。
あなたはあの人の可能性をつぶしている──
先輩からそんな言葉をかけられた。
最初は何を言われているのか、意味がわからなかった。
自分としては一生懸命利用者さんのことを考えて、やっているつもりだったから。
今思えば、、、
当時の僕がやっていたことは、介護士の仕事ではなくて、お手伝いさんや付き人のような仕事だったと思う。
(介護の仕事とは違うという意味で、“お手伝い”や“付き人”の仕事が悪いということではない。そもそも仕事の目的が異なるので。念のため)
利用者さんが喜ぶことをしようと思ってやっていたが、利用者さんのことを考えているようで、実は考えられていなかった。
きっと、、、
先輩は日頃から“僕のやりすぎ”が気になっていたんだろう。
そして、ついにこのとき、これ以上見過ごしておけないと考え、注意をしてくれたんだと思う。
今聞いてもドキッとする一言だが(苦笑)、この経験が僕が“介護士の役割”について真剣に考えるキッカケとなったことを思うと、本当にありがたい一言だった。
介護士の仕事には、、、
利用者さんに“やってあげる”介護と、
利用者さんご自身に“やってもらう”介護がある。
※“やってあげる”“やってもらう”という言い回しは、利用者さんに対し上からの物言いのようで不躾だとは思うが、今回の内容を伝えるうえで最もわかりやすい表現だと思ったので、こう書かせてもらった。ご容赦を。
“やってあげる”と“やってもらう”──
介護士というのは、この、まったく真逆の方向性があることをしっかり念頭に置き、場面場面で切り替えないといけない仕事だ。
「今は介護士が介助すべきときだ」、「今は自分でやってもらうときだ」と。
利用者さんが自力で行うのが困難なことを手伝うのは重要な仕事だ。
でも、一方で利用者さんが自力で行える可能性がある場合は、その可能性を伸ばせるように、伸ばせないまでも維持し続けられるように考え行動するのも介護士の重要な仕事なのだ。
何でもかんでもやってあげればいいというわけではない。
その利用者さんが自分でできること、できる可能性があることは、利用者さん自身でやってもらうことも“介護”なのだ。
忙しい職場では、、、
ついつい「介護士がやっちゃった方が安全だし早いから」と、利用者さんのできることも介護士がやってしまいがちだが、他人にやってもらってばかりで自分でやらなくなると、その能力は徐々に失われてきてしまう。
高齢の方ならその消失速度は速いし、一度失われたら再びやれるようになるのは若年層よりも難しい。
“やってあげる”と“やってもらう”──利用者さんに合わせてこの両方向を的確に切り替えられてこその介護士だ。
あなたは利用者さんの可能性をつぶしてしまっていないだろうか?


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